海外から日本へ帰国することが決まると、まず受験のことが気になると思います。
どの学校を受けるのか。
帰国生入試はどうなっているのか。
英語はどのくらい必要なのか。
もちろん、それも大切です。
でも、これまで帰国した子どもたちを見てきて、私はずっと思ってきたことがあります。
受験の準備と同じくらい、入学したあとの準備もしてほしい。
ということです。
この記事では、帰国生の受験対策そのものではなく、私がこれまで教育現場で帰国した子どもたちを見てきた経験から、入学後の学校生活を少しでも始めやすくするために、帰国前に確認しておくとよいことをまとめています。
帰国生入試に合格することがゴールではない
帰国生入試の難易度や選考方法は、志望校によって大きく異なります。
また、帰国生入試では、一般入試とは異なる教科構成で受験する学校や、作文・面接・英語などを重視する学校もあります。
入試科目や選考方法は学校によって異なるため、志望校の募集要項を確認することが大切です。
4教科すべてを受験しない形で入学した場合、入学後に、4教科の受験勉強をしてきた子どもたちとの間に、学習してきた内容の違いが見えてくることがあります。
もちろん、日本で学んできた子どもにも得意・不得意や学習の抜けはあります。
ただ、帰国生の場合は、日本の学校で扱う内容そのものを海外では学ぶ機会がなく、「苦手」なのではなく「まだ習ったことがない」ということがあります。
だからこそ、入学後にどの教科のどこを補うとよいのか、帰国前から少しずつ確認しておくことが大切です。
特に確認しておきたいのが、日本の地理
海外にいても、日本語学校や補習授業校などで、日本の地理や歴史を学んできた子どももいます。
先生方も限られた時間の中で、できるだけ日本の学習内容を教えてくださっています。
ただ、通っている学校や地域、授業時間などによって学習内容には違いがあり、日本の学校と同じように、学習指導要領に沿った内容をすべて、十分な時間をかけて扱えるとは限りません。
そのため、帰国前には「習ったか、習っていないか」だけでなく、どこまで理解できているかを一度確認しておくことが大切だと思います。

現地校では、学校や国・地域によっては、世界の歴史の一部として日本の歴史に触れることもあります。
一方で、日本の地理を体系的に学ぶ機会は限られています。
私がこれまで見てきた子どもたちでは、歴史以上に、日本地理の基礎が抜けていることで困るケースが目立ちました。
47都道府県や地方区分、主要な都市、その位置関係などは、社会科の地理だけで使う知識ではありません。
歴史の授業で地名が出てきたときにも、国語の文章や資料を読むときにも、ニュースや学校で地域の話題が出たときにも、日本のどこを指しているのかが分かっていることが理解の土台になります。
そのため私は、帰国前に日本地理の基礎を一度確認しておくことは、入学後の学習を楽にするうえでとても役立つと考えています。
漢字も、帰国前に一度確認してほしい
もう一つ、帰国前に確認しておきたいのが漢字です。
海外で日本語を勉強していても、「読めるけれど書くときには少し考える」という漢字が残っていることがあります。
もちろん、テストでは、意味が分かっていても漢字で答案を書くのに時間がかかることがあります。
でも、漢字が必要なのはテストのときだけではありません。
日本の中学校では、学校によって名称や方法は異なりますが、予定や持ち物、提出物などを記録するためのノートや手帳を使うことがあります。
朝の会や帰りの会などの時間に、短い時間の中で、
「明日の時間割」
「持ち物」
「提出物」
「授業の変更」
「翌日の予定」
など、いくつもの連絡事項を続けてメモすることがあります。
このとき、難しい漢字ではなくても、
年・月・日
月・火・水・木・金・土・日
曜日、時間、宿題、提出、持ち物、休み、授業
といった、学校生活で日常的に使う漢字を一つひとつ思い出しながら書いていると、それだけで時間がかかります。
教科名も頻繁に使います。
国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭、外国語(英語)
などです。
こうした漢字や教科名を書くことに時間がかかっているうちに、先生の話が次へ進み、持ち物や提出物などをメモしそびれることもあります。
特に、美術、保健体育、技術・家庭などは、授業内容によって持ち物や授業場所が変わることもあります。

ここで大切なのは、教科名を必ず漢字で書くことではありません。
漢字をすぐに思い出せないときは、最初のうちは英語の頭文字など、自分があとで分かる書き方で素早くメモするのも一つの方法です。
大切なのは、きれいに漢字を書くことより、短い時間の中で必要な予定や持ち物を記録しておくことです。
小学校で習う漢字を最初から全部やり直すというより、まずは学校生活で頻繁に使う漢字や教科名から少しずつ確認しておくと、学校生活を始めるときに役立つと思います。
一人ひとり、抜けているところが違う
以前、始業前の時間に、帰国した生徒を二人呼んで学習を見ていたことがあります。
同じ時間に二人を見ていたのですが、実際に確認してみると、抜けているところはまったく違いました。
一人に必要な学習が、もう一人にも必要とは限りません。
漢字を確認したほうがよい子もいれば、社会の知識を補うとよい子、計算をもう一度確認するとよい子、日本語で文章を書く練習が役立つ子もいます。
海外でどのような学校に通っていたか、日本語をどのくらい学んできたか、家庭で何を続けてきたかによって、帰国時の学習状況は一人ひとり違います。
この経験から私は、帰国生だから同じ内容を学べばよいというより、まず一人ひとりの学習状況を見ることが大切だと感じました。
その子が何を学んできて、どこが未習で、どこを少し補うと入学後が楽になるのか。
それを一度整理しておくだけでも、帰国前の準備がしやすくなります。
家庭で確認するほか、個別に見てもらう方法もある
帰国前に、
「今、この子は何が身についていて、どこをもう少し確認するとよいのか」
を一度整理しておくと安心です。
親御さんが家庭で一緒に確認してあげられるのであれば、それもとてもよい方法だと思います。
一方で、親子だからこそ、お互いに気持ちが入りやすいこともあります。
また、日本の同学年ではどこまで学んでいるのか、どこを優先して確認するとよいのかを判断しにくいこともあります。
そんなときは、帰国生の学習を見ている先生やオンライン家庭教師など、第三者に一度見てもらう方法もあります。
👉 海外子女向けオンライン家庭教師 eFFISAGE の無料体験を確認するすべての教科を長期間教えてもらうということではなく、まず現在の学習状況を見てもらい、
「ここは身についている」
「ここは帰国前に少し確認しておこう」
「これは帰国後に学んでいけばよい」
と整理してもらうだけでも、何から始めるかが分かりやすくなります。
帰国前に、全部を仕上げなくても大丈夫
帰国前に、日本の勉強をすべて仕上げておく必要はありません。
たとえば、
47都道府県を一度確認してみる。
学校生活でよく使う漢字を書いてみる。
日本の教科書や参考書を開いて、これから何を習うのか見てみる。
気になるところがあれば、誰かに一度見てもらう。
この中から一つでも取り組んでおくと、帰国後の学校生活を少し始めやすくなると思います。
帰国までの時間や、それぞれの家庭の状況に合わせて、取り組みやすいところからで十分です。
帰国後の中学校生活について全体を確認しておきたい方は、「帰国後、日本の中学の勉強についていける?|帰国前に確認しておきたいこと」も参考にしてください。
受験だけでなく、その先の学校生活も考えてみる
帰国が決まると、どうしても「どの学校に入るか」に目が向きます。
でも、学校へ入ったあとには、毎日の授業や学校生活が始まります。
海外で身につけてきた経験や語学力は、その子の大きな財産です。

その力を生かしながら、日本の学校で必要になることを少しずつ補っていけばよいのだと思います。
私は、帰国する子どもたちに、
「日本へ帰ってからも、自分はちゃんとやれる」
と思って学校生活を始めてほしいです。
そのために、受験の準備だけでなく、入学したあとの準備も、帰国前からできるところを少しずつ。
そんなふうに考えてもらえたらと思います。
Have a good start in Japan!(^^)/
本記事は、筆者の実体験と撮影写真をもとに執筆しています。読みやすさ向上のため、一部AIを補助的に活用しています。
